発売以来、大変ご好評をいただいております『Masque de bouquet』ですが、この度、TISSU ROUGE web 初の海外からのご注文をいただきました。
その国はイタリア。
そう、新型コロナウィルスの被害が最も大きい国の一つ、イタリアからでした。
ご注文をいただけたことにとても喜びましたが、何せ初めての海外発送。
創業当時より越境ECを想定し準備はしておりましたが、いざ本番となるとわからないことだらけ…。
今回はその顛末を書こうと思います。
発送準備に当たってまずすることは商品の包装です。
国内向けの商品のままで行く予定でしたが、品質表示が日本語だとわからないだろうと思い英語化しました。
通関時に値札が見えた方がいいという情報もあり、通常ロゴ面を表にしていたプライスタグを価格表示面を表に変え包装完了。
さて次は発送用の梱包です。
郵便局からEMSで発送する想定をしていましたので、他の用もありEMSについてどういう梱包で送るのがいいかも含めて詳しく聞こうと郵便局に行きました。
するとここで想定外の事態が!
窓口の方曰く
『現在新型コロナウィルスの影響によりイタリアへの発送は受け付けられなくなっています。』
……え?
ちょ、ちょっと待ってください?そうすると今の時期にイタリアへ発送するにはどうしたらいいの?もしかして受注キャンセルしなきゃならない?
一瞬のうちにいろいろなことが頭を巡り帰宅。
どうしたものかと考えました。
海外貨物といえばDHLやFedEx。だけど個人の荷物って扱ってくれるのだろうか。
我が家の近所にUPSの営業所があるのを思い出し、ホームページで確認をしてみました。
すると、プランが複数ありちょっとわかりにくいのですが軒並み¥10,000-オーバー!
ちなみにEMS発送の想定で¥3,200-の送料をいただいており、これでは利益がなくなるどころか真っ赤かになってしまいます…どうしたものか。
お客様は商品価格より高い送料を払ってまでお求めいただいています。
非常事態の対応ということで赤字でも発送しなきゃいけないな〜と思っていたところ、ヤマト運輸でも海外発送を受けていることに気づきました。
ヤマト運輸に確認してみると、この状況下でもイタリアへの発送を受け付けているとのこと。
日本での通関作業までをヤマト運輸が行い、通関後はUPSが配送を引き受ける形らしい。
そして肝心の送料はEMSと同じ!助かった!
ただし、EMSよりも時間がかかるらしいのですが、お客様に連絡を入れて確認し、O.K.をいただいたのでヤマト運輸に決定しました。
ヤマト運輸では60サイズが一番小さいサイズなので60サイズの段ボールに緩衝材を詰めて梱包しました。
ここでまた悩みました。緩衝材は何がいいのかと。
私個人も海外から購入経験があり、ウクライナから届いた商品が現地の新聞紙に包まれてきました。これがとても異国情緒を醸し出していて素敵だったことを思い出し新聞紙を緩衝材としました。
ヤマト運輸でもらってきた国際宅急便用の送り状に、記入例を確認しながら慎重に英語を手書きで記入。ここまでは問題なし。
さて、いよいよINVOICE。
こちらもEXCELの書式と記入例を用意してくれているのでダウンロードして必要事項を打ち込んでいきます。
順調に書き進んでいきましたが一箇所どうしてもわからないところが。
それは『Commercial cargo(有償)』なのか『No commercial value(無償)』なのかという点。
ネットで調べても『No commercial value』の話ばかりで大体は海外在住の家族にあてた発送について。越境ECについては全く見つかりません。
『ひょっとして正直にCommercal cargoって書くとバカを見るのか?』とか思い始めたところ、ある記事を発見しました。 『〜請求が発生するものに対してはCommercial cargoと記載する。No commercial valueとした場合は請求ができない〜』との事。 ??? 今回の場合、カードで決済が済んでいる案件だけどどっちにあたるの? なんとなく『商品』についてはCommercial cargoにする様にも読めるけど、事後決済ではないし…と頭がぐるぐる。
結局ネット情報では解決できず、ヤマト運輸のコールセンターに頼ることに。 なぜ最初からコールセンターに架けなかったかと言うと、実はいま、今回の私のようにEMSで発送するつもりだった人がヤマト運輸に駆け込んでいるらしく、コールセンターが全く繋がりません。ヤマト運輸側でも対応しきれていない為、電話も2回アナウンスが流れた後に強制的に電話を切るシステムにしてるので何度もかけ直さなければならない状態でした。 1回架ければ2分かかり、さすがに時間がかかりすぎると思い自力で調べてみましたが、ここはやむ無し、15〜6回かけ直してようやく運良く繋がりました。
直接聞けば一発で解決です。 『Commercial cargo は先方が販売目的で輸入するもの』なのだそう。 ですので『先方が個人的に購入した販売目的ではないもの』はNo commercial valueのOtherで問題ないとのことでした。
良かった、ようやくこれで完成だ。と思ったところにコールセンターのお姉さんから一言 『そこ、あまり見られませんから適当でも大丈夫ですよ』 …え? ま、まぁ知識として覚えておいて損はないでしょう。 正しく記入しておくに越したことはないですしね。
そして最後に釘を刺されました。 『これで確実に届くというわけではありません。全ては入国側の判断に寄りますから。』 ん〜、やっぱり難しいもんだなあ。
全ての準備を整えて、いざヤマト運輸営業所へ!
受付でINVOICEを確認してもらい修正箇所を直して発送完了!
あとはヤマトさんとUPSさんにお任せするのみです!
ここまでで既に受注から3日が経過しました。
ヤマト運輸では送り状番号が発行されますが、通関後にUPSに引き渡された段階でTracking Numberが発行され、以降はこのUPSの番号で追跡することとなります。
発送手続きから丸1日後、つまり受注から4日目に通関作業が完了しその日のうちに成田空港へ。UPSに引き渡されてTracking Numberが無事発行されたので、これでようやくお客様に発送のお知らせができました。
それでもつきまとう不安。本当に届くのでしょうか。
UPSに引き渡された後もヤマト運輸のホームページで配送状況が確認できます。
毎日毎日暇あるごとに状況を確認していました。
これが意外と楽しいんです(笑)。
『いま東京の通関が完了』
『深センで積み換えるんだ』
『まだ深センなの?』
『お、ドバイまで来た!次はいよいよイタリアか?』
『え?ケルンでまた積み換え?』
『あ!イタリアに入った』
『やったー!イタリア税関通過!』
『よし!よし!配達完了!よし!終わった〜!』
と、ずっと荷物の状況がわかり、近づくにつれて安心感が増していきました。
まるで、脳内で荷物と一緒に旅をしている気分でした。
配達日数、なんと10日間!
長旅もこれにて完了となりホッと一息。
お客様に喜んでいただけると嬉しいなと思っていたところ、なんとそのイタリアのお客様からメッセージが届きました! Fantastic!やPerfect fit!などの文字が踊る内容で、大変気に入っていただけたようです。 嬉しい!良かった! 商品価格より送料の方が高く、これで残念な気持ちになられてしまうのは余りに申し訳なく思っていたので、かなりホッとしました。
自分が海外から買い物をした際には、わざわざメールで謝辞を送るということは考えもしていませんでしたが、こうしてコンタクトを取ることはなんと気分の良いことでしょう。 こちらからもお礼のメールをお返しして、今回の件は無事終了となりました。
よく『お客様が喜んでいただけることが一番の喜びです。』という方がいらっしゃいますが、今回その感覚がわかったような気がします。
今後また海外に向けて出荷する時には、もう悩まずに済むでしょう。
その時にはまた、今回のように喜んでいただけるようしっかりと対応したいと思います。
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